発達障害とは程遠い子が自閉症診断待ち⁈【教師として納得いかない】

three boys are running on the grass field
本記事の内容

一本の電話での元生徒についての問い合わせ

先週、職場の上司から、去年わたしが担任していた子供について、問い合わせがありました。

2月に晴れて小学校へ入学した、R君(仮名)。
同じ学校へ上がった子供たちと一緒に、勉学に励んでいるはずでした。

なのに…

⋆小学校から、幼稚園をもう一年やり直すように言われた
⋆今から、幼稚園へ編入することはできないだろうか。
⋆本人、自閉症の診断待ち。

一体何があったのでしょうか。

上司は、R君の個人資料を調べても、発達障害のはの字も出ていないし、
ましてや、セカンドイヤーを申請する話し合いを持った気配もない。
どういうこと?という問い合わせでした。

先週は、R君に一体何が、あったのかを考えて、気持ちが昂りましたが、週末に心を落ち着け
自分の中で、客観的に分析することができましたので、書いてみたいと思います。

一度小学校へ上がったら幼稚園へ後戻りはできない

先ず、母親からの問いに対する回答ですが、

一度、幼稚園を卒園して小学校へ上がったら逆戻りはできません。

ビクトリア州では、そういう決まりになっているし、システム上、逆戻りはできないのです。

学校の判断で、もし子供の情緒や、発達、学習面で著しく進級が困難な場合、プレップ(小学校準備学年)をもう一年
やり直すことがあります。 
が、 これも、子供の自尊心を傷つけるし他の子供たちからも、進級できなかったと馬鹿にされることがあるので、
ほとんどの小学校では行っていません。

それがゆえに、

幼稚園に在籍している間、幼稚園の先生と親御さんの話し合いで、子供をそのまま
小学校へ上がらせることがベストなのか、それとも、もう一年幼稚園で、全体的な発達を
促してから、翌翌年に、学校へ行かせるかという選択をするのが、大事になってくるのです。

セカンドイヤーについては、詳しい関連記事を書いていますので、こちらからどうぞ。

R君に一体何があったのか?

学校は、幼稚園をもう一年やり直すようにということは、よほどの理由がない限り、
そんなことを易々を言うはずがありません。 

ましてや、学校も、システム上、逆戻りは
できないことを知っているはずですから。 
(ということは、多分、学校が問い合わせているのでなくて、母親自身の決断?)🙄

一体、R君に、何があったんでしょうか。

  • R君が学校に馴染めなかった?
  • 生活態度に問題があって、教師や他の生徒に多大な迷惑をかけた?
  • 学習面で取り残された?
  • お母さん自身に何らかの問題があって学校を続けていけない。
    できたら幼稚園に戻ってほしい。
    (コロナ禍では小学校から上は全て閉鎖で、全生徒自宅学習です。
    幼稚園、保育園は開いているので、一日中子供を先生に見てもらえます。)

でも、元担任として私が一番ショックだったのは、
R君自身には全く発達障害の様子が見られなかったにもかかわらず、
ただいま発達障害、自閉症の診断待ちと言う事実についてです。

発達障害を診断する、小児精神科や、小児発達診断医の専門家が、いくらその道のプロで、
優秀であったとしても、発達障害の診断は、子供の親、子供の担任などの問診がメインで、
総合的に判断されますので、お母さんが”そうだ、Rは自閉症”と思っている以上、
問診に対する回答も、彼女の思い込みが大きく反映されるはずです。

発達障害?それとも生活習慣、環境的な理由?

私が担任をしていた時から、明らかにR君の家庭環境には問題がありました。

母親は20歳前に、R君を産んで1人で育児をしていました。
実家との折り合いも良くないらしく、祖父母の力を借りながら、R君と2人だけの家を幼稚園の側に借り、
”これから毎日幼稚園にも通わせるからね。” と、私に約束し、
自分もオンラインでビジネスの学校に行っていました。

市役所管轄の幼稚園なので、もしも、母子の生活一般が危うい、ヘルプが必要だと思う場合、
役所の専門チームに相談して、サポートを受けることができます。
彼女の話から、私も、直ぐにそのニーズに気が付いて、彼女に、そういうサービスがあるよ、
生活や、子育て、経済的なサポート全般についてバックアップシステムがあることを伝えました。が、彼女は既に、自分自身に、心理学者がついているとのことで、本人の希望でサポート
必要なしになりました。

しかしコロナのパンデミックが起こり…
幼稚園は開いているから、継続して通わせてと伝えても、R君は休みがちになり、
来てもお昼すぎの登園。

典型的に夜型の生活になり、4歳なのに夜中の11時半~1時ごろまで、母親とその友人らと
一緒に夜更かしして、テレビや、ゲームをしていたようでした。

しかも母親はR君がよく癇癪を起こすので、その攻撃に根負けして、4歳の子供の部屋に
テレビを設置したと、電話で様子を聞く私に伝えてきました。

”私も、一人でずっと子供と一緒で、家に閉じこもって、休憩もなく、気が狂いそうです。
テレビをつけっぱなし、ゲームをさせっぱなしなのがいけないことは分かっています。
でも、他に一息つけるときが、ないんです。”という母親。

わかっちゃいるけど、やめられない。

本当は、良くないと知っているけど、強く言えない。

誰が、その母親を批判できるでしょうか。

私は、ひたすら聞き役に回り、支えて、でも、生活全般が好転するように、励まし続け増した。
相変わらず、役所から派遣できる公的なサポートチームのサービス利用は断られましたが。

メルボルンは、去年、ロックダウンで外出禁止令が出ている中、地元の公園も閉鎖され、
R君とお母さんは出かけられる場所は、家の周りの散歩ぐらい。
たまに自転車を乗る位のエクササイズしか残されていない冬場。 昼間のうち、まだ暖かいうちなら明るいでしょうが、彼らが昼過ぎに起きたころには、日も陰り、既に午後になっている。
生活態度が、まさに、お母さんのペースで崩れていきました。

それでも、気を付けて、偏見の目で見ない努力をしながら励ました続けた私は、
お母さんから毛嫌いされることもなく、電話でまめに連絡は取り続け増した。

ずっと、幼稚園には連れてきませんでしたが、小学校へ入學する手続きも済ませるように伝え、
お母さんも、地元の小学校への入学が決まり喜んでいたのに。

最後の決断で入学先の小学校も替えていた

入学する小学校のコーディネーターには、R君とお母さんを特別にサポートしてあげる必要が
あると、しっかりと申し送りをしていました。

卒園生も多く抱える地元の小学校のコーディネーターは、私の意味するところをしっかりと理解してくれたようで
親子共々、サポートしていくことを約束してくれていました。

なのに… 
R君は、去年10月に開かれた、新入生一日体験入学にも、参加せず。
そのまま小学校への入学を他の子供たちと同様に迎えたようでした。

でも、結局、先週の最新情報によると、R君は、私が申し送りをしておいた地元の小学校へ
上がらず、その隣町の、うちのクラスからは誰も入らなかった小学校へ編入したそうです。

きっと、何か理由があっての事でしょうし、
最終的には、親の決断で学校を決めることができるのは理解できていますが、
何があったのか、
元担任としては気になります。

誤診断? 発達障害で終わらせていいのか?

様々な、家庭や子供たちを取り巻く環境が理由となって、学校から取りこぼしされてしまう
子供たちがいることは、現実です。

でも、発達障害だと決めつけられてしまった場合、その子供のその後の人生、その子供が
到達できるはずの可能性はどうなるのでしょうか?

R君の話を聞いて、外国のバックグラウンドを持つ子供が、日本で暮らし始めた時に、
包括的なサポートを受けられず、様々な理由から発達障害と誤診断され、特別学級に通わなければいけないという本を
思い出しました。

26年間、幼児教育の場にいますから、同じようなケースに出会ったこともあります。

オーストラリアのような、移民国家で、違うカルチャーのバックグラウンドを持つ子供や家族に
手厚いサポートのあるこの国でさえ、たまに、本当は発達障害じゃないのに、子供の家庭環境は、
そのカルチャーバックグラウンドを多大に受けて、自閉症であるとか、言語障害という
誤診断を受けた子供を、何度か目にしてきました。

オーストラリアでは、例え障害があると診断されても、その人の人権や、生活の権利や保証は
日本より手厚いので、可能性がつぶされることはありません。

でも、R君の場合、絶対と言い切れるほど、自閉症の行動は見せていませんでした。
20代前半の母親にとっては、普通の4、5歳児が見せる”やんちゃぶり”も、しかも、一日中、
外に出さずに、ずっと画面の中で、ゲームをしている生活で、たまに出す、問題行動が
手に負えない行動に見えたのかもしれません。

まとめ

ちょっと昔の私だったら、R君のニュースをきいたら、鼻息荒らく、小学校へ問い合わせたり、
R君の母親へ直接電話を入れたりしていたかもしれません。

でも、私は、もうR君の担任ではないし、私が、鼻息を荒くしたところで、
現状が変わるものでもありません。

ましてや、母親は、弱者を支える役所からのチーム派遣を断り続けていて、これ以上私が
できることはないのです。

これが、貧困のループから抜け出すことが難しい、社会現象の事実。
学校からこぼれ落ちてしまった子供は、成長して親となっても、自分と同じような、似たような
環境を子供に作ってしまうという現実です。

R君が、いい先生、学校のコーディネーターや、小児科医と出会い、彼の可能性に
気づいてもらえるよう、願わずにはいられません。

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