資格を取って幼児教育業界で働きたい? 経歴26年の教師が考える本音

Violet in tea cup

海外で資格を取って働きたいと、
子供たちと関わる仕事に就きたいと思っていても、
なかなか実現しにくい。

英語の壁が…

私なんか無理だと思っているあなた。


オーストラリアでそろそろ20年になる経歴を持つ私が、
ぶっちゃけ、人材不足の幼児教育業界で働くって、
どんな感じか、この記事にまとめてみます。g

大金を払って資格習得の時間と労力をかける前に、
ちょっと読んでみて、資格習得をGo Aheadするかどうか、
きっとあなたのお役に立つでしょう。

本記事の内容

幼児教育に関心があり資格習得を考えているなら 今

オーストラリアで、子供たちと関わって働いていくためには、
どんな資格があるのかは、
詳しく下記の記事に書いていますので、
是非、このページもご覧ください。

3歳児幼稚園教育も州政府の補助金が出るようになった

2022年度から正式に、どの地域に住んでいる人も3歳児の幼稚園教育が、
週に5時間から15時間まで(地域によって補助金がでる額が違います)、
補助金をもらいながら受けられることになりました。

いよいよ、ビクトリア州教育省が、
正規の学校教育を始める前に、今までは1年間の4歳児幼稚園教育が必要だと唱えてきましたが、
1年のみならず、3歳児から2年間の幼稚園教育を受けさせることが
人間形成において、
どんなに必要であるか、コミットしたことになります。

ビクトリア州政府は、10年間で50億ドルを投資して、週に15時間の3歳の幼稚園を提供しています。
これは、独立した幼稚園とロングデイケア(保育園)センターの両方で利用できるようになります。

これは、ビクトリア州の歴史の中で幼児教育における最大の社会的、経済的、教育的改革です。

この改革の背景には、きちんとした研究から出された根拠があって、

For every $1 invested in early childhood education, Australia receives $2 back over a child’s life – through higher productivity and earning capacity, and reduced government spending on health, welfare and crime.

(Reference: A Smart Investment for a Smarter Australia, PricewaterhouseCoopers & The Front Project)

訳すと…
幼児教育に1ドル投資するごとに、生産性と収益力の向上、および健康、福祉、犯罪への政府支出の削減を通じて、子供の生涯にわたって、オーストラリアは2ドルを受け取ることになる。

ヨーロッパ諸国でも、幼児教育に投資することで、将来、その子供たちが成長した後、
政府が、福祉や、犯罪、健康面にまでかかるデメリットが半減されることが、
以前から研究されていることは、10年以上も前に、
私も研修で聞きましたが、まさか、ビクトリア州も本腰をあげて、
この改革を行うとは、期待していませんでしたので、個人的には驚きでした。

同時に、問題となっているのは、急な改革であったために、
幼稚園教育を行うことができる、
大卒の幼稚園教師が足りなくなったということです。

6000人ほど、現時点で足りていないという数字がでています。

この記事作成後、
2月上旬に行われた、2023年度リーダーシップ会議では、
向こう10年では1万1千人の幼稚園教師が足りなくなると
幼児教育、就学前の教育大臣が話していました。

本当に、早く教師育成に力を入れないと、
もっと人材が足りなくなるのは予想できますね。

だから、今、保育士のDiploma の資格を既に持っていて、
今後、キャリアを幼稚園教師にアップグレードさせたいという人は、
政府からスカラシップ制度も利用でき、
おまけに、いくつかの講義内容は免除されることになっているのです。

コロナで業界を去った資格者も

教育業界で働き続けるには、各州政府の教育省のお達しに従う必要がありますが、
ここビクトリア州でも同様に、教育者/保育士は、必ずワクチン接種とブースター追加接種が
義務付けられてきました。

ワクチン接種に様々な理由から賛同できない人々は、
いやおうなく、教育業界を離れなければいけないことになりました。
私の職場でも、こうした理由で職場を去っていった同僚がいます。
何十年も業界で働いてきて、自分の意志で、ワクチンを接種したくないという結論に行きつき、
どうにかこのまま、何らかの方法で、違う形で働き続けられないかと、
組合に相談したけれども、
ワクチン接種なしでは、子供たちを関わることはできないご時世になりました。

という理由で、ただでさえ人材不足だった幼児教育業界は
より一層、有資格者が減りました。

働く先の決め手となる ”メリットとデメリット”

では、圧倒的に人材不足となっている幼稚園教師になるかどうか考える前に、
この職業に就くメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。

これはあくまでも、
個人的な意見ですので、そこのところはご了承くださいね。

メリットは


幼稚園教師として、幼稚園に勤めるメリットは?

人間形成の土台となる幼児期に子供と関わり、
その成長をまじかに見られるということでしょう。

仕事で何年勤めていても、全く同じ子供、”変わらない一日”で保育が終わったためしはありません。
子供を追いかけながら毎日、あっという間に過ぎて行ってしまうのが保育です。

なぜ学校でなくて幼児教育?

子供にとって生まれて初めて関わる大人、そして、生まれて初めて見る”先生”になる可能性が大です。

言葉だけでなくて、態度や行動で表現してくる子供たちの世話を通して、
新しい発見や、気づき、そして、絶えることのない笑いがあります。

学校教育のように、まだ発達や、子供の成長を数値化せずに
一緒に親御さんやそのご家族と喜べるのもいいですね。

先生の手腕次第で、テストやカリキュラムに縛られず、子供たちに様々な方法を用いて、
学びを伝えられることが、醍醐味でしょうか。

まめに親御さんたちとも関わり交流する分、特別な関係を築くことができます。

待遇の面ではどんなメリットが?

幼稚園のスクールタームは州の教育省に準じているので、学校と同じ期間がお休みになります。
先生も、ホリデー中は、お給料支給されながら、お休みとなりますので、子供がいる親御さんにとっても、
メリットとして大きなポイントになりますよね。

お給料面でも、どんどん業界で見直しが進んで、学校の教師に追いつくようになってくるまでになりました。
今後も、期待値が大きいです。

デメリットは

アボリジニ―パズル蛙
実際に働いてみて分かった、日本の幼稚園との違いについて考えてみましょうね。 
仕事量と責任が重い?

デメリットとしてあげられるのは、仕事量が多く、責任が重いことだと思います。
メルボルンで教職について16年になりますが、どんどん仕事量は増えていっています。

これは業界全体での先生方へのアンケートでも同じ結果が出ています。子供の発達、学習記録から、
小学校に提出する公的な個人レポート、とにかくやらないといけないことが多いのです。

日本の幼稚園とは違って ”園長はいない”

そして、この国の幼稚園では園長などは実在せず、(保育園にはDirectorがいますが)
先生が一番上の責任者になります。
(もちろん経営運営者としての責任者はライセンス上います)

子供が虐待に合っていると疑惑がある場合、教師の義務として、
決められた公的機関に報告しなければなりませんし、
それに伴う、子供とその家族の影響を考えると、決して軽く行動はできない、
思い責任者の立場に就くことになります。

それに加えて、子供の発達、学び、身体面、精神面、情緒面が、定型発達に見合っているか、
もしも、発達障害の疑いがあるのなら、どういう理由でそう思うのか、事細かに記録していく必要もあります。
そして、その疑いがあることを、ご父兄に伝えて、どのような検査をしていくことが子供にいいのか
考えていくこと。
責任をもって取り組まなければならないことはその年の、担任するクラスによって未知数です。

日々の保育上のやりくり、けがや病気の対応、子供や保護者の関係から、備品や遊具が壊れた
報告や、配達のおじさんの対応まで全て現場で処理しますので、単純に先生以外の雑用の仕事も
とても多いです。

コロナで何が変わった?

コロナ禍で、幼稚教育にまでは及ばないであろうと考えられていた、
リモートラーニングが、入ってきました。

感染を恐れて、家で待機している子供たちや、ロックダウンで親が決められた優先職業に就いていない
子供たちは家から、課題をこなすことになり。

通ってくる子供たちの日々の保育に加え、リモートでお家でできることを考えて
させられる課題を出す。 
しかも、それらを毎日行う、大規模な”消毒と掃除”に追加されて。

2021年度は、疲労感がいつもいっぱいで。
2022年度に入ってからは、どんどん変わるビクトリア州教育省からのお達しで、
常に最新のニュースにアンテナを張り巡らして、週に2度のRATテストをこなしながらと
流れのままに、流されて行っているのが実情です。

子供たちと関わっている以上、その家族、大勢の人との交流から感染リスクも高く、
同僚も何人も、コロナの陽性者になりました。

自宅謹慎で、有資格者が足りず、具合が悪く病欠を取ろうにも、
”教師人材バンクにも、有資格者がいないので、先生が病欠を取る場合は、その日の保育は休園”という
前代未聞の措置も職場で出ました。

それ位、人出不足です。😢

職場の雰囲気は?

どこの職場、どの国で働いてきても同じです。
社会にはいろいろな人がいます。

働き者もいれば、そうでないものもいる。
噂話の好きな人もいれば、自分を貫いて、それに準じない人もいる。

多国籍が集まるオーストラリアですから、ただ女性同士のいざこざに加えて、
文化が違う、基盤となる価値基準が違うことからくる問題も出てきます。

自分で自分のご機嫌を取り、
納得のいく形で働く術を身に着ける、
これが究極の答えでしょう。


英語力はどのくらい必要?

自分の体験を交えていうと、幼稚園教諭の仕事は、
”世界一大切なお子様に関するやり取り”を保護者と細かいところまでするので
かなりのコミュニケーション力が必要とされます
(点数化できる英語レベルではなくて、コミュニケーション能力のことを話しています。)

特に、子供がお友達に悪いことをした、発達障害の疑いがあるなど、大事な大事なお子様に対して、
ネガティブともとれるようなことを話さないといけないことは、毎日、必ずあります。
そういう会話が苦手だし、英語に自信がないので、避けたいと願う人も多いですが、教師である以上避けられません。

親御さんにどううまく切り出して解決策を見つけられるよう話していくのかは、英語力でいう
英語の文法どうのこうの問題でなくて、まさにコミュニケーション能力が問われるレベルになります。

Dots play.jpg

そんな理由もあって、
ビクトリア州の初等科教育の免許を取った若い教師は、
卒業生の多くが、小学校へ就職していく人が多い
というのが現状です。

というのは、新卒でいきなり園の責任者になるのは、
とても肩の荷が重いからです。
先のデメリットにも上げましたが、仕組み上、幼稚園に勤めるということは
責任者としての立場もついてきてしまうわけです。

その点、小学校には、校長、教頭、事務の方などがいて、教師の仕事に集中できることできるし、
相談できる先輩、上司も校内にいるので、そちらへいくのも納得できます。

初めて幼児教育界で働くあなたにお勧めは

私からの勝手な提案ですが…
オーストラリアで園の責任者としてやっていく度胸と経験がないのなら、

私だったら…

初めから幼稚園教諭をするよりも、
Diploma の免許を取って、先生のサポートをしながら幼稚園で働くのが

一番お勧めだと思います。

Diplomaの資格で、保育園で働いてももちろんいいのですが、
保育園の待遇は幼稚園に比べて良いとは言えなかったり、
保育園が年中無休で、お休みといえばクリスマスから新年にかけての短い間だけしか閉園しないので、
職員もお休みは少なくなります。

Tip!

その点、
幼稚園で働くことが大きなポイントとなります。
Diploma の資格を取って、または先生であってもDiploma 資格の職から始めて、
Australiaの現場の先生の右腕として働きながら、
先生の仕事の子供への接し方、教え方、親とのコミュニケーション法などを見て学び、
経験を積みつつ成長する時期を持つのが、無理のない昇格方法だと思います。

お給料もDiplomaは、助手という立場になりますので、
確かに先生よりは低いですが、
先生である私は助手二人はなるべく時間内に帰して、
自分は残って残業したり、
家に持ち帰ってレポートや父兄へのお便りを書いたりすることが、日常茶飯事です。

助手として働く場合、そういうサービス残業は ありません。

最終的な責任は、教師が持つことになりますので、
お仕事を時間内でやりたいだけ。という働き方を求めている人には
いい条件になると思います。

日本人の保育士は、
英語はネイティブには追いつかなくても、よく気がつくし、
保育中、子供の様子もまめにみることで、高評価を受ける人も多いですよ。

まとめ

以上、個人的な意見になりますが、
私がいろいろ働いて見てきたうえで、
考えてみたメリットデメリットについてまとめてみました。

もしも、私の記事を読んでもっと詳しく知りたいことや、
疑問点がある場合は、
遠慮なくお問合せメールをくださいね。

Miku

海外で幼児教育につきたい、子供たちと接していくことを仕事にしたいと思うあなた。その気持ちを忘れずに、夢に向かって一歩ずつ進んでください。 応援しています!

Violet in tea cup

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