コロナ対策とっても先生にもリスク大~メルボルン幼児教育界のコロナ事情

mask on the dolls

一昨日、朝日新聞のネットニュースで、他人事とは思えない記事を目にしました。

https://www.asahi.com/articles/ASP986D7XP98TLVB00K.html

引用:朝日新聞デジタル

熊本の保育園でコロナウイルスのクラスターが派生したという記事でしたが、

この記事を書いている2021年の9月現在で、
オーストラリアのヴィクトリア州では、
幼児教育に関わる職員は、
子供の保育をする際にマスク着用の義務はない。

とはっきりと定義されていますので、職員はマスク着用せずに保育しています。

幼稚園で、子供たちの保育に関わっている私としては、
他人事ではないという気持ちになり、幼稚園など集団生活をする中での
コロナ対策について書いてみることにしました。

本記事の内容

コロナ感染は絶対大丈夫ということはないのが実態

これまで全く、医療関係者などを除いて、マスクをする全く習慣のなかった、
このオーストラリアで、今、通りを散歩する人、食料の買い物をする人が、
きちんとマスクを着用していることに、私は、
『よくここまで短期間で普及できたものだ』と、
内心驚いています。

移民の国であるがゆえに、自分の考え、習慣、人は人という意識がほとんどの国民の根底に
あるため、中々、国が音頭をとっても同じルールを共有しにくいと、私は感じていましたが、
やはり、前代未聞のコロナパンデミック中の中、人々の意識は変わったのでしょう。

大事な子供たちを預かる幼稚園・保育園でも、国の指導、ビクトリア州の文部省の指導に従い、
昨年から、数多くの、方針が取られてきました。

例えば、2020年度に取られた対策としては:

*子供たちの登園時、熱の測定をして37.5c以上ある子供は建物内に入れない
⋆登園、終了時のお迎えに父兄と関わる時は、職員も父兄もマスク着用
⋆父兄や、ビジターは建物内に入れない
⋆基本、子供が触ったものは全て消毒、拭き掃除
⋆子供にも、20秒間の手洗い徹底
⋆保育中も、できるだけ換気、ソーシャルディスタンスを徹底する
⋆園外保育、保育中の調理遊び、恒例の園児記念撮影などは全て禁止。

などでしてが、数々のコロナウイルスに関する研究や分析から、少しずつ、対応も
変化してきました。

2021年9月の現段階では、全ての園児に対して、熱の測定をしなくていいことになりましたし、
全てのおもちゃや、園庭の遊具を消毒、清掃することは、不可能なので
そこらへんも、緩和されてきました。

ウイルスがマスクのイラスト

なぜマスクは義務化されていないのか?

そして、一番初めに挙げた、マスクの件ですが、

“幼児教育界で、子供の保育をする際にマスクをするか?”

という問題は、あくまでも、個人の判断に任されています

感染の不安が、どうしても払拭できない、安全とは考えられないと思う職員は、
自分の意志で、マスクを保育中も着用していてもいいことになっています。

去年までは、その感染の恐怖から、保育中、ずっと医療用ゴム手袋をしている
同僚もいましたが、政府の医療チームが、その実践は、手洗いの習慣を
極端に減らすことになるし、かえってゴム手袋をしていることで、
弊害があるという見解から、禁止になりました。(保育中に子供と関わっている間
ずっとゴム手袋をつけていることは禁止ですが、勿論、掃除や、消毒時などは
使用義務づけです。)

今でこそ、子供たちも、大人のマスク顔に慣れてきていますが、
幼児と関わるという立場上、顔半分を隠した先生が保育をこなすのに、不便は多いのです。

  • 子供が、先生の表情が見えなくて怖いと、感じる。
  • 口でもごもごして、何て話しているのかよく聞こえない。
  • 先生の口元、顔全体の表情で、指示や状況を判断する発達段階にある幼児が、マスクでよく理解しきれない。
  • 人との交流に欠かせない、表情を真似して、読み取りながら感情を理解していくべきなのに、極端に、感情が読み取れない子供が増える。
  • 口元をみて、発音や、舌の動きで正しい言語発達を学ぶはずの幼児に
    その機会を逃すことになる。

といった、問題が出てくるのです。

先生の健康はどうやって守る? 子供を通して感染する可能性あり

では、一切、保育者のマスク着用は、禁止にすればいいのかというと、そう簡単な問題でも
ありません。

今では、子供も、現時点でコロナに感染することは知られていますし、
子供が感染源になって、子供を介して、大人へウイルスをうつすことも
解明されてきました。

感染力の高い、デルタ種や、他の国では、別の変異体もどんどん出てきている状態です。

つまり、マスクなしで、子供たちと日々、接している教師らは、かなりのリスクに
直面していることになります。

実際、ソーシャルメディアでは、不安を訴える同業者たちも多いです。

“一クラスに(平均)30名ほどの園児がいる環境では、ソーシャルディスタンスは守れない。マスクしたとしても、感染の確率は高い。”

“マスクをしないといけないような環境だったら、そこに登園してくる子供や職員は安全とはいえない。そもそも保育するべきでないのでは? 学校同様一斉閉鎖にするべき。”

“子供の発達を考えたら、マスクを外して表情を見せながら、保育する大切さは分かるけど、子供から感染して、愛する家族を犠牲にはしたくない。”

どれも納得できる主張です。

私が続する役所も、政府の方針に従いコロナの対策は立てているし、
万が一、感染の不安からメンタルヘルスを崩したり、自分や家族の安全を守れないという
不信があって、これ以上は仕事を続けられないと感じている場合は、
”短期休職”や、”メンタルヘルスのカウンセリングをうけること”などが、
推奨されています。

現在のビクトリア州文部省の見解では:

公共の場所と違い、幼稚園保育園の環境下では、
人の出入りも限定していて、感染を拡大させないような効果的な
対策が
取られているから。

(大丈夫だろうという判断らしいですが)

朝日ネットニュースを見た私としては、熊本のクラスターが、他人事は思えません。

職員同士で”お互いの安全を守ること”を確認

ロックダウンも長引き、家から仕事をするご父兄の中には、子供を迎えに来る際に、
『家で、人と関わることなく仕事をしていたので、ついマスクをしてくるのを忘れてしまった。』と、マスクなしで、子供のお迎えに来てしまったり、
保育終了後は、人の密を防ぐために、立ち話なしで、さっさと帰宅するべきなのに、
園庭でちょっと長話をしてしまうというケースも増えてきています。😓

皆、ロックダウンに疲れて、陽気も、少し、春めいてきているし、
話したいのは分かります。

後、1週間すれば、春休みにもはいるという気持ちも、少し、気が緩んできている
要因になっているとも取れます。

miku
miku

いろいろな理由で気の緩みもでてきているけど、
最後まで、子供、家族、そしてお互い、職員間の安全を守るために、基本に立ち返って、ベストを尽くそう。

と、私のチーム内の同僚らと話しました。

日本のニュースをもちろん知る由もなかった同僚らですが、
その事実を話したら、結構、震えあがって、私の意見に大賛成して、
換気、掃除、消毒を頑張ってやってくれていました。

皆さんも、色々な理由で、精神的、心理的に、疲れが出ているかもしれませんが、
お互いの安全を守るために、もう一度するべきことを徹底して、
自分と、自分に関わる全ての愛する人をまもりましょう。

追加情報

デルタ種の感染が活発化して、感染者もロックダウンしているにもかかわらず、減らないメルボルン。
Term3が終了する前の週、ビクトリア州教育省からは、
相変わらず教師に対して、速報が送られてきます。

そこには、”できるだけ外で、換気のいい場所で保育をするようにしよう!”と書いてあるのに気が付きました。
以前は、書かれていなかった一文。

子供を介しても、感染することが分かっているコロナウイルスの変異体。
どんどん、最新情報を取り入れて、自分、子供たち、ご父兄、そして職場の同僚を守る必要がありますね。

mask on the dolls

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