言葉は大事 でも行き過ぎた早期教育には注意

children's conversation over tea party

日本とオーストラリアで、幼児教育に携わってきてそろそろ26年になるMikuです。

この記事は、小さなお子さんを持つ若いご両親やそのご家族、
そして幼児教育に携わる方々に読んで考えていただきたい記事です。

皆さんの中で、できる限り幼児期の間に、
「可能性を伸ばしてあげたい!」
「学びに遅れをとらないようにやらせてあげられることは、習わせてあげたい。」と、
考えていらっしゃる方は多いかもしれません。

親として、できる限りの事はしてあげたいという願いは、誰もが持っている感情でしょう。
実際に、3歳児の担任をしていた時代も、
ご父兄から、

「幼児期の出だしでつまずきたくないんです。」

という親の本音を聞いたことも、一度ならずではありません。

でも、少し加熱気味なのはどうなのか、しかも、子供のためといってはいるけど、
親のエゴのためだったらどうなのか…と、思うところもあり、この記事を読んで
少し立ち止まって考えてもらえればと思います。

本記事の内容

”5歳児の教育プログラム 文部省が作成”

朝日新聞デジタルの7月21日付の記事に、
”5歳児教育のプログラム 文部省が作成へ 慎重論も” という記事が掲載されました。

行き過ぎた早期教育を危ぶむ声もあるらしいという本文の中、

小学校入学後に集団生活になじめなかったり先生の言うことが理解できなかったりする
「小1問題」の解消も図る。

引用元:朝日デジタル

という一文を見つけました。

これは、まさに、先週、私が職場で幼児教育者用に受けた研修で、オーストラリア政府が解決したい課題の一つと
共通していました。
(日豪という一見全く違う教育システムの両国であっても、問題点には共通のものがあるようですね。😆)

”オーストラリアの調査によると、小学校に入学してきたときに、学習への取り組み、
成長レベルに大きな格差があり、教師陣を悩ませる一つの大きな課題になっている。
その格差を縮めるために、親御さんや幼児教育者に子供たちにとって必要な、言葉の発達を促進してほしい。”というような内容でした。

学校へ上がる5歳6歳になるまで、子供が育ってきた環境、家庭でのしつけ、関りが全く違う
わけですから、さあ、画一的な教育で一緒に学びましょう~!といっても、学ぶ前の、姿勢、
興味、好奇心、そして言葉の理解度は違います。

教師としては、どこに焦点をあてて、カリキュラムを設定したらいいのか、悩みますよね。

幼児の発達の中で”言葉”はものすごく重要なポイント

子供の発達段階を査定する時に、認知、社会性、協調性、創造性、運動能力、自立心など、ありとあらゆる分野から、
その子供のレベルを判断できますが、やはり一番大切と言ってもいいものに、”言語能力”があります。

言葉を理解して、受け答えられて、そして人とコミュニケーションを図ることができるというのは、
学びの中でも1、2位を争うくらいトップに挙げられると思います。

研修の中で、

幼児期の言語能力の研究者として、名高いDr. Tim Mooreが、とても大切なメッセージを送っていました。

子供に言葉を教え込む必要はない。
日々の関わり、特に、遊びや本読み、歌遊びの中から、子供たちに自然に見せていくことが大事。 
脳の神経細胞の結合の活発化が終わり、安定化してしまう前に、その関わり持つことが
大切なのです
                             – 引用元:Dr. Tim Moore, Let’s read e-learning course, Murdoch Children’s research Institute –  

昔から、普通の家庭で育った日本人なら、あまり画期的な考えではない、当たり前の育て方に聞こえますが、
この国は多様な文化が混ざった多民族国家であり、自分にとっての普通は、
必ずしも他の人にとっては普通でないので、こういうメッセージがより強調されて聞こえました。

Violet in tea cup
保育中に子供たちが植えたすみれの花。
自分たちが植えたお花の成長を見ることは子供たちにとってこの上ない喜びです。

幼児教育界のエキスパートである、ムーア博士が、「言葉を教えこもうとする必要はない」
ハッキリと断言していたところに、かなり新鮮味がありました。

海外で、バイリンガル教育をしようと躍起になっていたり、焦って取り組んでいたり、
お稽古教室へ行かせる必要が、一体どれくらいあるのかな…と、私は日頃から感じています。

お家でできること、一緒に遊びながら、本を読んだり、歌を歌ったり、クッキングをしたりしながら、
できるだけ多くの言葉のシャワーを浴びせてあげること。

親子や家族の中での何気ない関り、おしゃべりの中で、色々な表現を聞かせてあげたりして語彙を増やしてあげること
それがやはり大事なんですね。

子供と一緒に本を読むということ

最近は、乳児が母親のスマホをいじっていたり、親が用事を片付けている間に、スマホの中の
アップで、子供に読み聞かせをさせたりして、時間短縮。というようなことも、多いようです。

「お利口さん」と褒められるたびに、有料アプリのゲームをダウンロードしてもらって、iPadの画面3スクリーン
全てがゲームで埋まっている子供も、去年のクラスの中にいました。💦
(それは、また別の機会にするとして。)

アナログ的な作業と思われるかもしれませんが、何でも、全てが ”今すぐ解決”、クリック一つでGoogleが
答えを教えてくれる時代だからこそ、親子で同じ絵本を一緒に読んで、文字と絵を追いながら、
絵本のページをゆっくり味わう時間が大事です。

結構、「すべてにおいて待てない子供」は、そういう親から育てられています。

先の話に戻りますが、オーストラリア政府は、貧富の格差同様、学習に向かう前の段階で広がっているGAPを縮めるために、様々な取り組みをしています。その一つが、Let’s read Programです。 Linkを貼っておきますので、お家でできる取り組みを無料で学ぶ、または、復習のつもりでサイトに目を通すのもいいと思います。

補足になりますが、上記のプログラム同様、数遊び版も無料であります。
サイコロ遊びなど、子供と一緒にお家で楽しまる遊び満載です。
>>リンクはこちら。https://letscount.thesmithfamily.com.au/

まとめ

繰り返しになりますが、子供の言語能力に影響を与えるのは、親だけではなくて、
子供と共に過ごす時間の長い、保育者、祖父母、ケアワーカーなど誰もが、第一人者になります。

子供と関わる全ての大人は、子供に多大な影響を与えます。
ゆったりとした時間の中で、一緒に遊んで、社会のルールを教えたり、歌遊びや本読みから、
語彙を増やしていくことが、幼児期においてとても重要なのです。

習い事、バイリンガル教育、お友達とのプレイデートなどで、振り回されて疲れ切っている子供も、現実問題として多いのが、今の時代です。

Miku

ホリデー中、何が一番楽しかった?

と、子供たちに聞くと、結構、”近所の公園で遊んだこと~”とか、
”自転車で近所にお菓子を買いに行った!”ことなどが出てきます。

「あんなに(お金と暇をかけて)OOや、OOに連れて行ったのに~。
そんなこと、忘れているんですかね。」

と嘆きますが、子供とは案外、そういうものです。

もっと、シンプルに、肩の力を抜いて、
親は子供と一緒に日々の、
普通の暮らしを楽しめばいいのにと、
教育者としても、子育てを終えた母親としても、感じます。

それから、前出のムーア博士が言っていました。
”親が関わって、脳の連結が活発な幼児期が大切であって、それが安定化してしまった後、
思春期の子供に一生懸命言語の遅れや、読み書きの習得をさせようとしても、難しい。

肩の力を抜いて、日々、子供たちと関わりながら、
情緒豊かな、
そして 言語能力の発達した
お子様を育てられますように。

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