オーストラリアに住んで26年になるMikuです。
突然ですが。。。
皆さんは、躾というなの体罰と、虐待の境い目について考えたことありますか。
今夜、ご近所さんの子供が、お母さんに叱られて大声で泣いている声が、聞こえてきました。
お仕置きなのでしょう、バンバンと、ドアをたたいて、一生懸命お母さんに許しを請いている声が
聞こえてきました。
子供が泣く声は、誰が聞いても辛いものです。😥
「早く、許してあげて欲しい」と思いながら、
親がオーストラリアの習慣を知らないが故に、体罰をふるってしまったり、行き過ぎたしつけをして、
通報されてしまったりすることがあるということを、記事にしようと思いました。
この記事を読んでいる方が、日本の常識をそのままオーストラリアで使ってしまい、
取り返しのつかないことになりませんように、小さなお子さんをお持ちの親御さんや、海外に
移り住んだばかりの方へお知らせのために書きたいと思います。
知らないと危険 - 子供への体罰はタブー
オーストラリアでは子供の体罰はタブーであると、広く一般に認識されています。
したがって公の場で、子供を叩いたり、大声を出して怖がらせたり、お仕置きしたりする親は最近はあまり
見られなくなりました。
今まで、他の国から移民してきたばかりの人が、子供に対してきつい体罰をふるって、それを目撃した人から
警察に通報されたり、しかっている親の態度に対して、他人が口をはさんで、子供を守ろうとするのを見たことがあります。
私が住むビクトリア州では2005年に制定された児童青年家庭法などに元づいて、
子供の性的犯罪やネグレクトが疑われる場合、それをしかるべき機関に通報しなければならないことが
義務化されています。
特に、教師を含めて決められた職種の立場にある人が、その虐待の疑いに対して何もせず、
そのまま問題を放置していた場合は、法的に罰せられます。
はっきりと、虐待の確認できていない場合でも、疑いがある場合は直ちに通報していいことになっています。
特に、子供のいのちに関わるような深刻な状態の場合は、警察や24時間通報可能な、チャイルドプロテクションの
機関へ。
一刻を争わない、命にはかかわらない場合は、別の機関へ連絡することになっていて、
皆さんが考えている以上に、それらの機関へ通報されるケースは多いものです。
子供の虐待の例として通報されてしまうケースは…
- 子供に体罰を与えて子供に身体的、精神的、心理的に傷つけた
- 寝ている子供を起こしたくないので、車のカーシートにそのまま寝かせてちょこっと、買い物に行った
- 子供が、親の監督なしに道の真ん中でスクーターや自転車を乗り回して危ない遊びをしている
なんていうものもあります。
性的な犯罪や、明らかな暴力や体罰でなくても、見る人が変われば、それはしつけではなく、虐待になります。
上記の例は全て、友人や教師という仕事を通して、私が実際に見聞きした通報事例です。

日本人にとっては『こんなことで、警察に通報されちゃうの?』と感じるかもしれませんが、
社会全体で、子供の権利を守ろう、虐待を減らそうという仕組みが整っている国では
うっかり知らなかったでは、すまないケースになることがあるのです。
なぜしつけに体罰を使ってはいけないのか - 研究からひもどく
ひと昔前までは、子供は口で言っても分からない。
親だけが、自分の子供にわかるように言い聞かせたり、ちょっとぐらいたたいてもいい。
そんな風潮がありました。
何年か前から、たたかれたり体罰を受けて育った子供たちは、
大きくなってから様々な問題行動が見られるという統計が出ています。
子供に体罰を加えることで見られる問題点:
- 子供を身体的、感情的、内面的にきずつけることになる
- 子供に人に対して叩いてもいいと教えこんでしまう
- 子供の健康と発達に、長期的なダメージを与えてしまう。
思春期になったとき、体罰を受けて育った子供たちには
*問題行動
*不安と過度の心配性
*鬱傾向
などの問題がみられることが多いことがわかりました


どんなしつけが望ましいのか
子供に体罰をせずに、マナー良くしつけをするにはどんな方法がいいのでしょうか?
- 家族間で守るべきルールをしっかりと教える
子供がどんな行いがよくて、いけないことは何であるのか日頃からしっかりと伝えておく。 - 前もって余裕をもって計画的に行動する
当たり前ですが、子供と一緒に行動する時はゆとりが大切です。
時間的にも、精神的にも親がゆとりをもって行動することで、子供の態度がかんばしい行いでなかったとしても
自分を失ったり感情的に怒ることが激減するでしょう。 - 親がいいお手本を示す
どんな行いが好ましいふるまいなのか。
お行儀よく食べるとか、食べた後に食器を片付けて手伝うとか、兄弟喧嘩をした場合どのように解決していくのか
実践をもって教えると、子供もよいお手本から学ぶことができるでしょう。 - それでも行動や態度が改善しなかったら体罰以外の、お仕置きを与える
この場合のお仕置きとは、週末までゲームをする時間なしにするとか、お友達の家に遊びに行く約束を
キャンセルするとか、その問題行動に見合ったお仕置き。
問題行動をとってしまったことで、自分で招いた結果を責任をもって認めることを教えるのです。
感情的にならないように自分のWellbeingを整える
そうは言っても、乳児期、幼児期、学童期、思春期と、ずーっとスムーズに育児書通りに
子育てが進むことは先ずないでしょう。
子供の聞き分けがない、癇癪をおこしたり、泣き叫んでどうしようもないとき。
カーッとなって、感情で子供を怒鳴ったり、手を出してしまったりしては元も子もありません。
そこまで自分を追い詰めたり、イライラしないよう、環境を見直したり、詰めすぎのスケジュール設定は
やめましょう。
いい親、いつも100%子供中心のライフでなくていいのです。
親にも休憩、ちょっとブレイクが必要です。
上手くいかない子育てや、問題について家族や、友人と話したりすることで気持ちが軽くなって
つならないことでくよくよしている自分が馬鹿らしくなることもあるでしょう。
身体を動かしたり、軽くストレッチして気分を変えたり自分の体と心のバランスを丁度よく保つことも
大事ですね。
最後に
過去にも書きましたが、毎年9月の初めは全国児童保護週間を迎えます。
教師は、子供への虐待や性犯罪、育児放棄などの疑いが少しでもある場合、それを通報せずに放置しておくと
法的な責任を取らされることになりますから、毎年、いろいろな研修を受けます。
そして、私も今まで実際に、家庭の深刻な問題から、子供の保護や通報に関わらなければならなかったこともあります。
教師として、親としていろいろ考えさせられることも多く、いくつかのケースは、
単に、親の認識不足からくるもの、そして、オーストラリアの決まりを知らなかったがゆえに起こったものも
あるのではないかと思うのです。
今夜、ママにお仕置きを受けて泣き叫んでいたご近所さんの子供。
次回見かけたら、子供でなくて、ママに『この間、何かあった?』と、さりげなく聞いてみようと思います。
東南アジア出身のその家族はまだ移民してきて4年なので、その何気ない会話から、体罰や、子供を異常に
怖がらせたりするお仕置きがいけないことを伝えるきっかけになるかもしれません。