豪州では年に一度やってくる周りの人のメンタルヘルスを思いやる日 【R U OK? デー】

caring friend

R U OK? デー って聞いたことありますか?

身近にいる人に、心の中に隠している問題についてオープンにたずねてみて、
ゆっくりと耳を傾け、解決への道を共に探り、相手を気遣う日です。

”Are you OK?” 
“本当に、心の中で起こっている葛藤は何か?” 
他人の内面、深い心理面まで踏み込むことは難しいかもしれませんが、
あなたの何気ない一言が、誰かの人生を変えるかもしれない
というメッセージが込められている大切な日。

毎年やってくるこの日ですが、
コロナ禍で、精神的、心理的、経済的、社会的に多くの
問題を抱えている人が多いといわれている現在。

職場で開けたメールに、

”誰かの人生を変えるかもしれない会話を始める4つのステップ”について

下記のようなポスターが添えられてました。

R U OK day poster
R U OK? 組織の公式サイトには、職場、学校、幼稚園などで即使うことができるようなポスターや
学習ツールが用意されていて無料でダウンロードすることができます。

この記事を読んでいる誰かの心にも届くかもしれないので、書いておきたいと思います。

本記事の内容

R U OK? デーってどんな日

人は、平静を装っていても、心に多くの問題を抱えていることがありますよね?

その人の様子が、
”いつもと違う、何だか様子がおかしい。”
”しばらく会っていないけど気になる。”など、
周りにいる家族、友人、同僚、知り合いなど、誰でもいいので、
あえて声をかけて、必要な助けはあるよ。一人でないよ。と、
手を差し伸べる日です。

毎年、9月の初めにこの日が設定されているのは知っていましたが、
今年は、コロナで外出規制が長期化していたり、
仕事や、家族を失ったりして、
鬱に陥ったり、メンタルヘルスが悪化している人が増えているというご時世。


この”R U OK? デー”は、メディアや、SNS、職場などでも
いつに増して、大きく取り上げられていました。

誰かの人生を変える会話への4つのステップ

オーストラリア人は、割といつも陽気で、
”Will be all right!” 大丈夫だろう。
などと振る舞い、
深い心の闇に踏み込むことを避ける人が多いとも感じられます。

特に、男性は、心の中に問題があったとしてもそれを打ち明けることで、
弱い面を見せることに抵抗がある人も多いことが広く認知されています。

男性でも身近な人に、心の内をオープンに出してみよう、弱音を吐いたり、
苦しいと訴えることは、みっともないことでも何でもないんだよという
メッセージがオーストラリアでは近年、うたわれています。

朝のメールで届いたポスターには、役に立ちそうな4つのステップが載っていました。

1.尋ねる

最近どう? 何だか最近元気がないように見えるけど、どうかした?

2.心を開いて相手の話を聞く
何か話したかったら、私でよければ聞くよ。

その気持ちはしばらく続いているの?

3.問題解決に向けて、行動を起こせるように勧める

ドクターに話した方がいいんじゃない?

どれくらいの間そのことを考えてきているの?

4.その後どうしているか確認してみる

それから気分はどう?

問題が快方に向かっているか、再確認の言葉をかける。

Miku

「こんなシンプルなたった4つのステップでも、
誰かを救うことになるのね~。」

「あなたは大丈夫なの?」

と、共に、園児を迎える同僚と軽口をたたきながら、朝の準備を終えました。

心の問題は誰もが抱えている‐ 親も苦しい

この朝に目を通したポスターの4つのステップが、役立つことになるなんて、
思ってもみなかったのですが…


早速、このポスターのステップを実践する機会が出たのです。

それは…
子供たちが朝のおやつを食べている頃の事でした。

その日くる予定になっていなかったJ君が母親と一緒に、
みんなよりかなり遅れて登園してきました。

J君のご両親は、家から仕事をしていて、
幼稚園閉鎖中、登園できる園児の対象にはなっていなかったため
私が入口で確認の対応をしました。

『登園できるように、政府が許可している申請書は、
さっきメールで提出しておきました。』
と、母親は視線を交わすことなく
私に伝え足早にその場を去ろうとしました。

いつになく、素っ気なく、しかも目も合わせない態度がどうもおかしいと感じた私は、
J君をもう一人の助手に任せて、母親の後を追いかけました。

Miku

”Hさん、待ってください。
Hさん、Are you OK?  Is everything all right? ”と、

後ろから追いながら母親に追いつくと、


”もうダメ、これ以上できない。 
仕事と、リモートラーニングと、子育てが、
全て上手くいっていない。 
今朝は、特にひどくて、どうしようもない。”

と、いつもは笑顔の彼女が、声をだして泣き崩れたではありませんか。

私は、直ぐに家に帰ってCityへ行く旦那と子守りの交代をしなればと急ごうとする
彼女を園庭の端のベンチに座らせて、少し話をしました。

まさに、今朝見た、誰かの人生を変える会話への4つのステップを必要としている人が
目の前にいるのです。

聞いてもらえる人がいるだけでも人は落ち着く

母親は、かなり自分の中で抱えていたものが大きかったのでしょう。

まるで、子供のようにマスクの上から大きな涙を流し、
鼻もぐしゃぐしゃにしながら
しばらく泣きじゃくりました。

私は、いいんだよ。 溜まっていたものを吐き出してと言いながら、
じっと待っていました。

私が余計なことを言わず、聞き役に徹したからよかったのか、

夫婦そろって、フルタイムの仕事があるのに、
3人の子供が家にいて
仕事に全く集中できない。


小学生の娘は既に、リモートラーニングの限界を感じていて、
宿題に手を付けられない。
結果、「勉強しなさい」といつもイライラ怒鳴っていることになる。


一番下の子、乳児は、母親が家にいるので、いつも抱っことせがみ、
赤ちゃん返り。
真ん中のJ君は一人で、いつもTVとiPadだけが相手になっている。

私は、聞きながら、本人がこれ以上に必要のないプレッシャーをかけないよう、
気を付けて言葉を選びながらも、

Miku

このコロナ中は、一番大事なのは、メンタルヘルスだよ。
ちょっと肩の力を抜こう。

* 完璧を求めたらだめだよ。 
 ビクトリア州の文部省も、リモートラーニングはできる
 範囲内ですれば十分だと言っているから、できる範囲で十分。

* 仕事も事情を説明すれば少し、仕事量を減らすとか、
 余裕を持たせてくれるはず。

と、達成できそうなアドバイスを選んで伝えました。

彼女は、起業していて自分が会社の代表であるがゆえに、
仕事量を減らすこと=クライアントをなくすことになるという、
強迫観念の中で、子供の面倒も、
家事も全てを回そうとしていたのでした。

でも、話を聞いてもらって楽になったといいながら、帰っていきました。

どんな時でも選択肢はある

夕方のお迎え時に、園に笑顔で戻ってきた彼女。

表情もいつもの笑顔に戻り、

”先生のアドバイス通り、今日は、一切、
娘のリモートラーニングはやらず、
2人でゆっくりとした時間を過ごし、怒鳴ることもしなかった。

おかげさまで、久しぶりに、娘の笑顔も見ることができた。
先生、いろいろありがとうございました。”と、
感謝の念を添えて報告してくれました。

今は、皆、いっぱいいっぱいの人が沢山いるんです。
リモートラーニングが上手くいっていないのも、
多くの人が抱えている問題だし。
でも、一番大切なのは、家族の中の笑顔をなくさないこと。
そのためには、お母さん自身の心のバランスが大事ですよ。

本当に、彼女が嗚咽しながらでも、アドバイスを受けとめてくれてよかったです。

娘の学校の課題なんて、ここまで切羽詰まる前に、
もっと、早くから、やらずに開き直ってしまえばよかったのに。(笑)

exchange heart

まとめ

私もその昔、Hさんと同様の気持ちになった事は、何度もあります。
彼女は、頑張り屋で完璧主義なのでしょう。
やってもやっても終わりが来ない、
上手くやろうと思っても、結果が付いてこない。

でも、子育ても、人生も、計画通りに行かないものなんですよね~

私も、この歳になり、さまざまな体験をとおして、
それが実感できるようになりました。

人の話も相手を裁くような視点を持たずに、ありのままに、
聞くことができるようにも
なってきたのかもしれません。

問題の真っただ中にいると、視界が狭まって、”OOしかない。OOすべきだから。”と
自分を羽交い絞めにしてしまうことがありますが、
そんな時こそ、深呼吸をして、一歩下がって、問題を見てみる姿勢が大事でしょう。

人生の選択肢は、黒と白だけがではないのです。
時でなければ、選ばないという選択もできますし、
グレーという選択もあります。

自分一人の中で、にっちもさっちもいかないと感じたとき、
どうせ人に話してもと思わず、誰かに話してみて、自分の気持ちを整理するのも、
一つの手ですね。

R U OK?デー、私も、また一つ学ばせていただきました。

Hさんに笑顔が戻って、本当に良かったです。

caring friend

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